歩きだからこそ見えてくる神様「榎木大明神」
「20年近く住んでいるから、京都について大体のことは知っている」。それを見るまで私はそう思っていました。ですが、碁盤の目から少し離れた道には、京都出身でも知らない京都の姿がありました。この記事では、京都の隠れた名所「榎木大明神」を紹介します。
河原町五条は大規模な交差点です。高めのビルが並び、車が行き交う、現代的な雰囲気を醸し出しています。
ですが、大通りから離れると一気に静かになります。
車のエンジン音はほとんどなく、川のせせらぎだけが聞こえてきます。
川の名前は高瀬川。角倉了以によって開かれた運河であり、二条大橋付近から流れて十条よりも北で鴨川に合流します。
それにかかっているのは榎橋です。
ひときわ目を引くエノキの大木が見えます。
そのエノキの近くにこのような看板がありました。
源氏物語の主人公、光源氏のモデルとなったといわれている源融。その人物の大邸宅があったと言われている場所でもあるようです。この大木が平安時代にもあったとは、ロマンがありますね。
大木の近くには建物があります。手前に鳥居があり、出入り口があるのがわかります。
中は複数人が一度に入ると窮屈に感じてしまうでしょう。
ひっそりと佇んでいますが、供えられている榊は新しいように見えます。誰かが手入れをしている証拠でしょうか。ただし、私の前にも後にもここに参拝していた人はいなかったので、ご利益を独占できたような気持ちになりました。
暗くて見にくかったですが、榎木大明神と書かれています。
この通りには電車やバスが通りません。車や自転車ならば通ることはできますが、意識していないと見逃してしまうかもしれません。徒歩だからこそ見える景色がそこにはあります。榎木大明神は、歩く人々に微笑む神様といってもいいでしょう。
普段乗り物で移動している人も、たまには歩いて町を散策してみてはどうでしょうか。きっと新しい景色が見えてくるはずです。
(下京ローカルグッドレポーター:N.F.)
2023.10.23