京版画作品の素晴らしき世界
<木版印刷歴史>
木版印刷は飛鳥時代に中国から仏教と共に伝来し、そもそも経文などの仏教に関する印刷物を皮切りに、のちに貴族たちが信仰・祈祷のための書物や兵法書など出版事業として木版印刷を生業とするものが生まれた。
江戸時代に入って以来、浮世絵の発展とともに、最初の墨刷り一色の版画から多色刷り版画の手法に発展してきた。その後、その伝統版画が急速に発展するに伴い、江戸後期に爛熟期を迎えるまでになった。
明治時代からの近代にかけて、マニュアル化、機械化につれて木版印刷が主流な印刷術からアーティストの創作手法の一種になった。
<竹笹堂>
●会社の事業及び歴史
木版画制作の流れにおいて3つの工程が分けられ、絵を描く絵師、絵師からの絵を受け取って板を彫る彫師、彫師から彫られた板を受け取ってバレンで色を和紙に写し取るのが摺師というように三者分業体制で行われる。
有限会社竹笹堂は木版画を制作する工房であり、版画の摺り注文を受けることを皮切りに、摺師の工房から始まる。その後、摺りの仕事を含めて様々な伝統的な仕事に携わっている。五代目の竹中健司代表取締役社長は、新しい時代に応じるために、木版画制作もさることながら、紙のアイテム、ブックカバー、ポチ袋などのオリジナル商品制作・販売、デザイン提供・企画等々、版画に関してのあらゆる事業を展開されている。
そのほか、昔の木版画や版木の調査・復刻・修復再生を行っている。昔はお札を印刷するための仏様や神様の姿が書かれた版木がある。昔、ご住職、ご神主が自分自身でそのようなお札を摺り、信者さんや参拝者に渡されていた。時代につれて使わずに神社や仏閣の蔵に眠っているままの木版画や版木の用途、内容、価値などを、竹笹堂が調査し、修復可能なものは独特な技術を用いて当時の状態を再現する。また、原板や木版画をもとに復刻木版画を制作し、失われた木版画の再生も行っている。
●木版印刷の新たな生命力
竹笹堂は伝統的な物を基に、伝統的な色柄を大切にしつつも現代要素を取り入れ、実用と美感が融合する生活雑貨・美術品が作り出す。文化と技術の継承に繋げ、さらなる現代ニーズに適合して木版印刷に新しい生命力を与える。
●感想
絶え間なく生産効率を追求しつつある時代において、伝統産業が衰えていく傾向がある。そのため、読者に伝統工芸品の魅力を伝える一方で、読者に伝統産業への関心を喚起させるのが今回の伝統工芸品の店へ訪れた目的である。また、実際に担当者に伺った後、作品を見るとアーティストの手作業を通して作品から一刻たりとも油断せずに尽力していく精神力や、暖かい人間味を感じさせられた。竹笹堂は、木版印刷という古来の技術を使って、模様デザインに現代芸術の理念を取り入れ、独創的な視点で商品化を続けている。竹笹堂の伝統と現代を相互に融合する形が、私の伝統産業への認識を改めてくれた。
(下京ローカルグッドレポーター:ジョケイ)
〇参考資料
京版画 [京都府の伝統的工芸品等]
https://www.pref.kyoto.jp/senshoku/hanga.html
京都の伝統工芸一覧 /京版画
http://www.kougei-kyoto.jp/kougei/hanga.html
江戸時代の文化と栄華を支えた木版印刷
https://www.jfpi.or.jp/printpia4/part2_03-08.html
2023.10.20