町屋の良さを思い起こせ!最⼩限のリノベーション
町屋を壊して新たなテナントを!街の改⾰を!という動きは非常に勿体無い。そうは思わないだろうか?私はあの歴史を想起できる見た目や雰囲気をそのまま贅沢に味わいたいと考える。
確かに町屋を活⽤し切るのはなかなか⼤変である。形が固定されているし、造形としても現代における「オシャレ」とはかけ離れているようにも思う。
しかしながら町屋を「カフェ」や「バー」として活⽤している事例もたくさんある。
今回紹介するのは五条にあるカフェ「糖太朗」さんである。
写真の通りとても美味しそうな商品であるが「砂糖専⾨店」と称している通りその魅⼒はお砂糖にある。⽣プリンはとろとろな⾷感、そして添えられた抹茶には砂糖は含まれていない。砂糖の魅⼒を最⼤限伝える場が完成されているのである。
ところで砂糖といえば何を思い浮かべるだろうか。よくあるのは上⽩糖やグラニュー糖、その他諸々…
ここ砂糖専⾨店「糖太朗」で使われているのは含蜜糖と呼ばれるもの。聞いたことがない⼈の⽅が多いかもしれない。精製された砂糖と違い、ミネラルを多く含むので「体に優しい美味しさ」が体現されているのである。
さてここまでお店の魅⼒に関して語ってきたが、着⽬すべきはそのシンプルで親しみやすい、それであってオシャレみを感じられる空間づくりである。ここは町屋をリノベーションしているのだが、簡易的な改装しかしていない。写真を⾒れば分かるとおり2階部分があったであろうガラスは昭和の頃によく使われていたものであり屋根裏の⽊も町屋独特の「⽊をそのまま残した」使われ⽅がされてある。
2階部分は階段が隠されているがゆえにその奇妙な存在がオシャレに拍⾞をかけているのである。
取材した際対応していただいた店員さんに話を伺ったところ、町屋に着⽬してこの店舗を構えたわけではないそうなのだが、実際お客さんは地元の⽅から海外の⽅まで、その親しみのある「オシャレ」に引き寄せられて訪れていると聞く。簡易的なリノベーションだけでこの⼼地よい空間を実現させているのは町屋そのものに魅⼒があったからではないのだろうか。「木をそのまま残した」ことで、自然が感じられ、含蜜糖の持つ「体に優しい美味しさ」という魅力もより鮮明に伝わってくるのである。
他にも「五条モール」という町屋を「バー」や「芸術家のためのスペース」として活⽤している例もある。
ただお店を運営しているだけでなく、様々なイベントやSNSでの発信をしており、1つ町屋の活用法として大きな役割を果たしている。この場合も「町屋」という奥に長い構造をした建築の素質そのものを現在の需要と調和させた上で提供しているからこその味を感じられる。これが⼤事なのではなかろうか。
(下京ローカルグッドレポーター:春巻き)
2023.10.11