アートワールド・下京のまち
2023年3月、京都に文化庁が移転しました。京都から世界へ日本の文化を発信する狙いがあるようです。また京都駅近くに京都市立芸術大学の移転もあります。私はこのような京都の芸術関連の活動を目にし、アートの視点から、京都の入り口である下京区の魅力を伝えたいと考えました。まち歩きによって、下京区のまちにはユニークなモノが多く存在することがわかりました。今回はこの記事を通して、下京のまちに眠るアートを紹介し、下京の魅力を伝えたいと思います。
1.イルカの写真
まずはイルカのオブジェクトを紹介します。ワイヤー状に作られたこのイルカは、京都水族館の入り口で我々を出迎えてくれます。あなたはこの写真を見て、何を思いますか?私はこのイルカが雲を食べようと、空に向かって一生懸命に泳いでいるように思えました。ただのオブジェと言われたらそれまでなのですが、見る角度を変えることで、自分だけの想像力でアートを感じることができます。あなたはどのように想像しましたか?
2.ハートの写真
続いては七条通りに面したカフェ「DAVADA」にある、ハートを描いた看板を紹介します。写真に写っているのは、ハートの看板とお店の店長です。私はこの看板を目にしたとき、ハートと音符が折り重なり、音楽で心を響かしているように感じました。実際お店に入ると、レコードが多く飾られていたので、私は看板に込められた思いを理解しきったつもりでした。そんな状態の中でお店の店長に看板について聞くと、この看板は料理人をしていたフランスの学生が描いたものだと知りました。日本人の知り合いの伝手で京都へ来たそうです。そしてこのお店の常連となり、店長に頼んで自ら看板の作成に取り組んだようなのです。フランスの方は何を思い、この看板を描いたのでしょうか。話を聞いて、私はこのような疑問が浮かびました。看板にあるこの不調和に描かれた音符のような記号は、自国を離れたことによる不安を表していたのだろうか。ともすれば、この看板の心に不安な自分を投影し、それを描いたのだろうか。このように、私は取材をすることで、看板(アート)に絡まっていた物語を知り、違う視点や解釈で新たに看板に対する思いを想像することができました。お話を聞き、知らない世界を知ってからアートを体験してみてはいかかでしょうか。
3.景色の写真
最後に紹介するのは、鴨川を挟んだ街並みの写真です。朱色の波が京都の町を覆い、建物からは明かりが漏れ出し始めています。私がその瞬間の景色に魅かれ、撮った一枚です。この写真を反対にして見ると、紅色の龍が京都の町を覗き、見守っているように感じました。この景色は形の無いもので、アートではないという意見もあるかと思います。しかしこの写真に同じものはなく、一期一会の出会い。そのときだけの景色なのです。オブジェクトだけではない、一種のアートをこの写真は見出しているのではないかと考えています。私は一つ一つがアートになり得るのだと思いました。その意味で、下京区には非常に多くのアートが存在し、それらが自分の中にある想像力を伸ばしてくれているように感じました。私はそのような魅力を持つ下京区を誇りに思います。最後に、あなたはこの景色から何を想像しますか?
下京区は文化のまちであり、アートのまちでもあります。ぜひ京都の玄関口へ、足を運んでみてはいかかでしょうか。
(下京ローカルグッドレポーター: M・A)
2023.10.11