崇仁お囃子会 ~祭で興すまちづくり~
まちづくりの取り組みなどの紹介を通じて、下京区の魅力を再発見していただくコーナーです。
今回ご紹介するのは、崇仁まちづくり推進委員会による「崇仁の祭り囃子」です。
江戸末期に生まれたという崇仁の祭り囃子は、昭和33年ごろに中断してしまいましたが、有志により平成5年に復興され、現在も月1回の練習会を経て演奏が続けられています。本来は船鉾に乗った子どもたちが鉦を演奏し、町内を巡行していましたが、ここ2~3年はコロナ禍等で鉾の巡行に代わり、「崇仁文化祭」などの場でお披露目されています。今年11月5日の文化祭でも、鉦、太鼓、笛の合奏による「祇園囃子」が多くの人を魅了しました。
約30年ぶりに祭り囃子が復元された際、小さいころにお囃子に参加していた大人が集まり、それぞれの記憶の中の思い出を頼りにみんなで船鉾の再建やお囃子のメロディーを作り上げられたといいます。「祭の復興とともにまちづくりができれば」と推進委員会の丸山修さんは語ります。京都市立芸術大学の移転が決まり、学区全体が盛り上がりつつある一方、過去の歴史や人口減少等の課題も残る崇仁学区。まち並みが良くなっているにもかかわらず、いまだになかなか進まない課題に対し、「誰にとっても心には故郷の存在があるもの。崇仁学区の皆さんにとっても、自分の育ったこのまちを好きになってもらいたいし、胸を張って言える“ふるさと”であり続けてほしい。それが課題解決の糸口になると信じて活動している。そして、祭を盛り上げることを通して、多くの人に関心をもってもらいたい」と熱く語ります。
今後、船鉾の上に乗って演奏する本来の形を取り戻せればと願います。また、お囃子を演目とする「京都の六斎念仏」がユネスコの無形文化遺産に登録される見通しという嬉しいニュースもあり、「お囃子という地域の資産を受け継ぎ、学区民の意識の紐帯を祭が深めていくことで、先を見据えたまちづくりに取り組んでいければ」と丸山さん。お囃子の音色がまちづくりの息吹となり、これから先も響きつづけることを願います。
『春祭り1日目 午前中巡行の様子』
※市民しんぶん下京区版「下京のひびき」令和4年12月15日号掲載時の内容です。
2022.12.12