歴史ある町名の謎を解く!天使突抜&悪王子町
「下京暮らしの手帖(※) 上級編」action28の「読めない町名気になる町名の歴史やいわれを探ってみよう」に挑戦してきました。
下京区内には町名が書かれているホーロー製の看板「仁丹町名看板」が残っているそうです。今回は、その看板の発見を目指して「天使突抜」「悪王子町」のまちあるきをしました。というのも、下京暮らしの手帖のヒント欄にいくつかの町名が書かれているなかで、天使突抜は由来が特に想像できなかったことから、また悪王子町は「悪い王子??変わった地名だな」と驚いたことから関心を抱きました!
はじめに、悪王子町に向かいました。しかし、お目当ての看板を見つけることはできず、悔しいです。街並みとしては、烏丸通に位置しているため、ビルやお店が立ち並んでいました。よく通っているまちにこのような名称が付けられているとは知らなかったです!悪王子町を西に7分ほど歩くと、天使突抜1丁目に着きます。仁丹の文字が記されておらず、古くから残る「仁丹町名看板」ではないようですが、確かに天使突抜であることが確認できる看板を見つけました!
続いてこの二つの地名の由来・歴史を探るために、下京図書館に行きました。図書館の京都コーナーで『京都地名由来辞典』という本を見つけました!!資料によると、悪王子町の名前は、天正18年(1590年)に移転した「悪王子社」がかつて位置していたことに由来するそうです。移転する前の悪王子社は、悪王子町から少し北上したところに所在していたようで、その地は「元悪王子町」と呼ばれています。悪王子町に移ったのち、数回の移転を経て、現在は八坂神社の境内に所在します。はじめに悪王子と聞いた際は、悪い王子が祀られているのかなと思ってしまいましたが、八坂神社のHPによると、悪王子社は素戔嗚尊(すさのおのみこと)の荒魂(神の荒々しい側面、荒ぶる魂)を祀っており、悪王子の「悪」は「強い力」という意味であるそうです。
一方で、天使突抜の名称には、「五条天神社」の存在が大きく関係するようです。社伝によると、五条天神社は延暦13年(794年)、平安京遷都の際に創建され、当時は「天使の宮」(天使社)と称されていたそうです。また、京都地名由来辞典によると、「豊臣秀吉による京都改造の一環として五条天神社の境内地を砕き新しく南北に通る街路を通した」ことが由来として記されています(源城・下坂,2005,p109)。つまり、「天使の社を突き抜けて作られた」という意味で「天使突抜」と呼ばれるようになったことがわかります。一説によると、「天子様」と呼ばれ、住民が親しみを持っていた神社を無理やり突き抜けたとして、皮肉を込めてこのように名づけられたとも言われているそうです。
今回はまちの名称に注目をしてまちあるきをしました。地域のことを調べてみて、普段何気なく通っていた場所も、視点を変えると新たな発見があり興味深く感じました!下京には興味深い町名がまだまだあります。今度は、気になっている「二帖半敷町」「廿人講町」を調べてみたいと思います!
(執筆者:下京ローカルグッドレポーター なごしほのか)
〈参考文献〉
八坂神社HP悪王子社|お社・ご祭神|八坂神社 (yasaka-jinja.or.jp)(2022年8月18日最終アクセス)
源城 政好・下坂 守(2005)『京都地名由来辞典』東京堂出版
(※)京都カラスマ大学が発行している、まちを歩くちょっと変わったヒント集。いつも何気なく過ごしているまちで豊かに過ごせる「暮らし観光」=「マイクロツーリズム」の視点とヒントを手に入れることができる1冊。
2022.10.11