京都 中堂寺六齋会 ~京都の民俗芸能の継承~
まちづくりの取り組みなどの紹介を通じて、下京区の魅力を再発見していただくコーナーです。
今回は、重要無形民俗文化財に指定されている「京都の六齋念仏」を下京区内で唯一保存継承している「京都 中堂寺六齋会」(以下、同会)です。
六齋念仏は、平安時代に洛中に伝染病が蔓延した際、空也上人が広めた鉢叩き念仏が起源とされる民俗芸能で、近世に発展し、複数の流派に分かれていきました。中でも民衆からの支持を得るため工夫を重ね、使用楽器に笛を追加したり、歌舞伎や狂言の演目を採り入れたりしたものは「芸能六齋」と分類されるようになりました。
同会は下京区北西部でこの芸能六齋を保存継承しており、現在、小学生から70代まで、50名ほどの会員が在籍しています。市内各地の寺社に六齋を奉納するほか、8月12日~15日に中堂寺地区の100軒以上の家庭を訪ね、先祖の霊を供養する「棚経」があげられるなど、地域との結びつきも密接です。また、平成15年からは、小学校の総合的学習の時間に伝統文化が採り入れられ、性別関係なく六齋を指導する機会ができたことをきっかけに、同会の活動に女性が参加できるようになりました。同会の秋田博会長は「六齋の継承には担い手を増やすことが必要で、特に継承の危機にあった笛方において女性の担い手が活躍するようになったことは嬉しく思います」と振り返ります。社会の変化による後継者不足の問題も柔軟に対応してきました。
このように活発に活動してきた同会ですが、昨年からのコロナ禍により、平均週1回の頻度で行ってきた練習ができなくなりました。「行事で発表する機会がなくなったため、会員のモチベーションを保つのが難しい」と秋田会長。厳しい状況が続いていますが、活動再開の機会をうかがいつつ、今日まで継承されてきた文化を守り伝えようと努力を続けています。「来春、稲荷大祭御旅所公演では、ぜひお会いしたいと思います」と期待を込めます。
※市民しんぶん下京区版「下京のひびき」令和3年10月15日号掲載時の内容です。
2021.10.15