うめがえ の ちょうずばち梅ヶ枝の手水鉢
源平合戦を題材にした文楽の演目『ひらかな盛衰記』に、梶原源太景季のために尼崎の神崎の遊女「梅ヶ枝」が、「無間の鐘」になぞらえた手水鉢を柄杓で叩く場面があります。「無間の鐘」とは、撞くと現世の富と引き換えに来世は無間地獄に落ちるという伝説の遠州七不思議の1つ。江戸期の人々には「無間の鐘」といえば遊女「梅ヶ枝」と手水鉢の情景が連想され、文楽や歌舞伎や落語、歌川広重や鈴木春信の浮世絵など、様々に表現され人気を博したようです。明治期にも假名垣魯文作と伝わる俗謡『梅ヶ枝の手水鉢』が座敷歌として流行し、明治37年発行の小泉八雲著『怪談』中の『鏡と鐘』にも「無間の鐘」と「梅ヶ枝」に関する記述があります。
「梅ヶ枝の手水鉢」は、いつしか神崎から京都の島原の茶屋に流れ着いたとされています。昭和30年の堀川整備の際に七条下る周辺の川底から発見され、長らく島原の茶屋に保存されていましたが、昭和62年平安建都1200年の祝賀の際に現在の地(下京区鎌屋町40)に据えられました。
さて問題です。
下京区にある,国の名勝庭園の「渉成園(枳殻邸)」にも著名な手水鉢がありますが,その名は何でしょう。
①塩釜の手水鉢
②源融の手水鉢
③吾唯足知の手水鉢
正解
①塩釜の手水鉢
この問題は,京都検定1級をお持ちで区内にお住まいの河本俊子さんに出題していただいています。
※市民しんぶん下京区版「下京のひびき」令和2年3月15日号掲載時の内容です。
2020.03.15